top of page

天狗




高尾山が好きで一年に一度は登っている気がします。

つい先日も登ってきました。

いい季節だけど、平日なら空いているかなと思いましたが、この時期は春休みの大学生で賑わっておりました。


高尾山はすぐ登れてしまいます。山というよりは公園という感じで、自分にとってはそこがとても魅力です。


やはり人も多いので、その日はなるべく人気のないコースでネイチャーを感じようとしてました…




天気予報は晴れでしたが、午後、下山していると天気が悪くなってきました。

またすぐ晴れるだろうと思っていても、どんどん雲行きは妖しくなるばかり。



そうこうしているうちに、雲はまるで鉛のように重くたれこめ、風は冷たくなり、辺りは昼間だというのに夜明けのように暗い。カメラのフラッシュが光ったのかと思ったら、ゴロゴロと雷も鳴り始めたのです。


「これはやばい、早く高尾山口駅へ」

それでも雨が降っていないのが救いでした。


そんな時ふと気づいたのです。


そういえば全然ひとがいない。頂上はお祭りのようだったのに。

どうやら人気を避けていたため、思わず山道から外れてしまったようです。


道らしき道がなくなり、獣道は頼りなく細くなっていくばかり。それでも麓まで降りられれば……


その時とても強い風が吹きました。木の葉は舞い上がり、とても目を開けていられなくなりました。


風がおさまるとあたりはしんと静まり、空は少し明るくなりました。そして、話し声が聞こえたので、「良かった、開けた場所がある。山道に戻れた。」

そう思い、前に目をやると、天狗が3人いたのです。


あまりの驚きに思わず写真を撮ってしまいました。これがその時の写真です。


天狗はこちらの存在に気がつくと


「貴様、どうやってここへ来た!」

と高尾山じゅうに響くような声で怒鳴りました。それはまるで雷のようでした。


もうひとりが羽団扇を振り下ろすと、ふたたび猛烈な風が吹き、打ちつけるように木の葉が舞い、薄目のなかで、一瞬強い光が瞼を突き抜けました。



…気がつくと高尾山口の蕎麦屋にいたのです。

不思議なこともあるもんだ、と思い。「とろろそば」と注文しました。





やはり高尾山といえば「天狗」です。いつも天狗をテーマにした作品を作りたいと考えています。


そしていつか展示もしたいですね。

題名だけは決まっていて「TENG TEN 」です。





その際はどうぞよろしく👣





Kommentare


bottom of page